【ダブルクロス小説】『裏切りのSnow City』 1章 (1)
2007年1月12日 自作小説続いて第一章。
主人公も出てきてここからが本番…!
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S県S市。
東北地方に位置するこの街は特に有名な観光地があるわけでもなく、いわゆる「普通の田舎町」といった雰囲気の街だった。
冬になると街中が一面の雪に覆われることで有名だが、初夏の今頃は暖かく過ごしやすい天気が続いている。
「ん…。今日もいい天気だな。」
小さく伸びをしつつ井川・拓真は通いなれた通学路をゆっくりと歩いていた。
いつもは目つきが悪いとか三白眼などとからかわれる顔も今は眠そうに緩んでいる。
市内の公立高校に通う拓真は自宅から30分の距離を歩いて通学していた。
成績的には市外の有名校に通うことも出来たのだが、『通学がめんどくさい』という理由で近場の高校に通っている。
「今日は一限目から体育だったよな…。めんどくせぇ…。」
愚痴るわりにはさほど嫌がっているようには感じられない。
なんだかんだいって体を動かすことは嫌いではないのだ。
「や、おはよう。」
声とともにぽん、と肩を叩かれる。
首だけ振り返って後ろを見ると学校指定のブレザーを着た女生徒が立っていた。
「おう、宇星か。」
綾茉・宇星。(あやまつ・うらら)
拓真とは幼稚園時代からの幼馴染である。
ほっそりとしていて背は拓真より少し低い程度。
髪は短めにそろえており、黒縁の四角い眼鏡をかけている。
ぱっと見には真面目で固い印象を与えるが、実際には人懐っこくて女生徒からの人気も高い。
噂話が大好きでどこから仕入れたのか判らないような情報まで溜め込んでいるらしい。
小〜中学校までの間、親の仕事の都合で県外に引っ越していた拓真だったが、中学卒業と同時にまた生まれ故郷であるS市に戻ってきて、通い始めた高校で宇星と再会した。
家が近いので自然と通学途中で一緒になって登校することが毎日である。
「何よ、ずいぶん眠そうだけど…。どうかしたの?」
「あー…、いつもの。」
めんどくさそうに答える。
「例の…悪夢ってやつ?」
拓真は最近同じ夢をよく見ていた。
宇星には内容まで明かしていないが、人を殺すような夢は悪夢の一言で説明は不要というものだ。
その夢を見る時は決まって夜中に夜中に目が覚めて、その後はまったく眠れなくなってしまう。
「あんまり辛いようなら最近は睡眠補助薬とか売ってるから試してみれば?」
「あぁ…そうだな。」
実際のところ、宇星には言っていないことがもう一つある。
夢の内容が、少しずつ長くなっているということ。
夢を見始めた頃はすぐに終わっていたのだが、だんだんとその続きを見るようになっているのだ。
(夢なのに内容が同じで、続きがあるってか…。)
心の中でため息をつき、面倒な話題はこれで終わりとばかりに別な話題を切り出す。
「それより、こないだ言ってた話はどうなったんだ?」
「こないだ、って…探偵部のこと?」
キラーン、と宇星の眼鏡が光った…ような気がした。
「優香先生に確認したんだけど、新しい部活を作る場合、最低3人の部員と顧問の先生が必要で、生徒会長の承認がもらえればいいらしいのよねー。」
「ほうほう」
探偵部。
高校1年の終わりくらいから宇星が言い始めたもので、推理小説好きな彼女らしい発案と言える。
元々帰宅部だった拓真は宇星に強制的に参加を言い渡されていた。
拓真自身、1年間の高校生活において部活を何もしていないことに少なからずさみしさを感じていた為、『不承不承』その申し出を了承した。
「顧問の先生は優香先生にお願い出来れば一番だったんだけど…。」
「あー、風都先生は文芸部の顧問やってるからなぁ。」
風都・優香(かざと・ゆうか)は拓真や宇星のクラスの担任で国語の担当であると同時に小説執筆の趣味を生かして文芸部の顧問をやっている。
「今後の課題としては、もう一人部員の確保と顧問の先生を見つけること、か…。」
「そうね。顧問の先生の方は引き続きわたしの方で探してみるから、たっくんは部員になってくれそうな人を探してくれる?」
「判ったから『たっくん』はやめろ。」
「検討しとく。」
何気ないやり取り。
それだけで、思い悩んでいた気分が晴れやかになっていることを拓真は感じていた。
(…やっぱり、友達ってのはいいもんだよな)
/******************************************************/
続く。
えぇと…。
まだまだ登場人物は増えます!(ぇ
お、怒られるかにゃー。( ̄▽ ̄;
主人公も出てきてここからが本番…!
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S県S市。
東北地方に位置するこの街は特に有名な観光地があるわけでもなく、いわゆる「普通の田舎町」といった雰囲気の街だった。
冬になると街中が一面の雪に覆われることで有名だが、初夏の今頃は暖かく過ごしやすい天気が続いている。
「ん…。今日もいい天気だな。」
小さく伸びをしつつ井川・拓真は通いなれた通学路をゆっくりと歩いていた。
いつもは目つきが悪いとか三白眼などとからかわれる顔も今は眠そうに緩んでいる。
市内の公立高校に通う拓真は自宅から30分の距離を歩いて通学していた。
成績的には市外の有名校に通うことも出来たのだが、『通学がめんどくさい』という理由で近場の高校に通っている。
「今日は一限目から体育だったよな…。めんどくせぇ…。」
愚痴るわりにはさほど嫌がっているようには感じられない。
なんだかんだいって体を動かすことは嫌いではないのだ。
「や、おはよう。」
声とともにぽん、と肩を叩かれる。
首だけ振り返って後ろを見ると学校指定のブレザーを着た女生徒が立っていた。
「おう、宇星か。」
綾茉・宇星。(あやまつ・うらら)
拓真とは幼稚園時代からの幼馴染である。
ほっそりとしていて背は拓真より少し低い程度。
髪は短めにそろえており、黒縁の四角い眼鏡をかけている。
ぱっと見には真面目で固い印象を与えるが、実際には人懐っこくて女生徒からの人気も高い。
噂話が大好きでどこから仕入れたのか判らないような情報まで溜め込んでいるらしい。
小〜中学校までの間、親の仕事の都合で県外に引っ越していた拓真だったが、中学卒業と同時にまた生まれ故郷であるS市に戻ってきて、通い始めた高校で宇星と再会した。
家が近いので自然と通学途中で一緒になって登校することが毎日である。
「何よ、ずいぶん眠そうだけど…。どうかしたの?」
「あー…、いつもの。」
めんどくさそうに答える。
「例の…悪夢ってやつ?」
拓真は最近同じ夢をよく見ていた。
宇星には内容まで明かしていないが、人を殺すような夢は悪夢の一言で説明は不要というものだ。
その夢を見る時は決まって夜中に夜中に目が覚めて、その後はまったく眠れなくなってしまう。
「あんまり辛いようなら最近は睡眠補助薬とか売ってるから試してみれば?」
「あぁ…そうだな。」
実際のところ、宇星には言っていないことがもう一つある。
夢の内容が、少しずつ長くなっているということ。
夢を見始めた頃はすぐに終わっていたのだが、だんだんとその続きを見るようになっているのだ。
(夢なのに内容が同じで、続きがあるってか…。)
心の中でため息をつき、面倒な話題はこれで終わりとばかりに別な話題を切り出す。
「それより、こないだ言ってた話はどうなったんだ?」
「こないだ、って…探偵部のこと?」
キラーン、と宇星の眼鏡が光った…ような気がした。
「優香先生に確認したんだけど、新しい部活を作る場合、最低3人の部員と顧問の先生が必要で、生徒会長の承認がもらえればいいらしいのよねー。」
「ほうほう」
探偵部。
高校1年の終わりくらいから宇星が言い始めたもので、推理小説好きな彼女らしい発案と言える。
元々帰宅部だった拓真は宇星に強制的に参加を言い渡されていた。
拓真自身、1年間の高校生活において部活を何もしていないことに少なからずさみしさを感じていた為、『不承不承』その申し出を了承した。
「顧問の先生は優香先生にお願い出来れば一番だったんだけど…。」
「あー、風都先生は文芸部の顧問やってるからなぁ。」
風都・優香(かざと・ゆうか)は拓真や宇星のクラスの担任で国語の担当であると同時に小説執筆の趣味を生かして文芸部の顧問をやっている。
「今後の課題としては、もう一人部員の確保と顧問の先生を見つけること、か…。」
「そうね。顧問の先生の方は引き続きわたしの方で探してみるから、たっくんは部員になってくれそうな人を探してくれる?」
「判ったから『たっくん』はやめろ。」
「検討しとく。」
何気ないやり取り。
それだけで、思い悩んでいた気分が晴れやかになっていることを拓真は感じていた。
(…やっぱり、友達ってのはいいもんだよな)
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続く。
えぇと…。
まだまだ登場人物は増えます!(ぇ
お、怒られるかにゃー。( ̄▽ ̄;
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