久しぶりに小説の続き更新です。
前回1章が終了したので、幕間2と2章の1をまとめて放出。
幕間2はもっといろいろと書こうと思ってたんですが、それだと幕間じゃなくなっちゃうんでこのくらいで。( ̄▽ ̄;
ダブルクロスについての詳細は下記のWikiを参照ということで。
・ダブルクロスWiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9
/******************************************************/
- 幕間2 -
夜。
既に深夜0時を過ぎ、校舎内は日中の騒がしさを想像出来ないほど静まり返っていた。
用務員の見回りも終わり、戸締りがされた校舎内には誰も残っていない…はずの校内で足音がした。
校舎から少し離れた位置にある体育館。
室内プールや部活棟とも繋がる通路を一人の女学生が歩いていた。
緩いウェーブのかかった金髪のロングヘアーを腰まで伸ばし、背筋をピンと伸ばして歩くさまは一見してお嬢様然とした雰囲気をかもし出している。
彼女は輝名学院高校指定の制服のポケットから真っ白な携帯電話を取り出し、歩を緩めずにどこかへと電話をかける。
「…誠くん?こちらは準備完了よ。いつでも始めて頂戴。」
最早声のみ聞けば名乗る必要も無しとばかりに要件のみを突きつける。
電話の相手もそれは承知しているようで、特に気にもかけずに話を続けた。
『りょーかい。真彩さんの方も準備は完了してるから始めちゃっていいよー。』
「C’est meilleur!(すばらしい!)」
上機嫌に呟き、携帯をポケットに仕舞う、と同時に彼女は予定通りの場所にたどり着いた。
「さぁ、今宵もパーティーの始まりですわ。」
体育館横にある剣道場の扉を前に彼女は不敵な笑みを浮かべた。
首の辺りから制服の内側を探り、静かにネックレスを引き出す。
外見に似合わない革素材のネックレスの先には3cmほどの緋色の球体がぶら下がっていた。
…と、その球体が台座から外れ、重力を無視してふわりと宙に浮かんだ。
彼女は、周囲を連れそうように廻る球体を見て満足そうに頷くと、剣道場の扉を引いた。
本来であれば鍵が閉まっているはずの扉は何の抵抗も無く開き、彼女を暗闇の中に招き入れる。
「この由唯・一美と踊る勇気のある方はいるのかしら?」
楽しげなステップとともに彼女の姿が闇に溶け、消える。
開け放たれた扉が静かに閉まり、再び周囲には静けさの支配する空間だけが残った。
2章 - 1 -
放課後。
宇星は保健室へと来ていた。
「それで?怪我したわけでもなさそうだし…今日は何の用?」
輝名学院高校保健室の主、風嶋・美弥子は冷静を装いつつ宇星に声をかけた。
動きやすいジーンズにノースリーブのシャツというラフな格好の上から白衣を着ており、少し茶がかかった髪を頭の後ろで結い上げている。
曇った眼鏡を拭くそぶりを見せつつも視線がちらちらと移動する。
意識しないように努めてはいるが、どうしても机の上に置かれた『物』が気にかかるようだ。
「いやぁ、実はですね、みやちゃん先生にどーーしても頼みたいことがありましてお願いにきた次第ですはい。」
「頼みたいこと?」
保健室に常備している急須にお茶の葉を入れ、ポットからお湯を入れる。
風嶋の日本茶好きは校内でも有名で、することが無い時はいつでも日本茶を飲んでいるともっぱらの噂だ。
放課後になると仲の良い生徒が集まってはお茶会を開いているらしいが、今日は風嶋と綾茉の二人きりのようだ。
「実は…今度新しい部活を作ろうとしてるんですけど、みやちゃん先生に顧問をお願いしたいなー、と。」
「んー…。どんな部活?」
「それはですね…」
かくかくしかじか、とこれまでの経緯を説明する宇星。
「他の先生はほとんど何かしら部活の顧問をやってるし、こんなお願い聞いてくれそうなのってみやちゃん先生くらいしかいないんですよ。」
「んー…顧問ねぇ…。」
「先生も探偵物の小説とか好きじゃないですか。運動系の部活と違って顧問の先生が何かすることってほとんどありませんから、ご迷惑はおかけしないと思います。」
「ん…。」
することがない、とはいえやはり顧問となる以上、その部活で行われることへの監督責任が発生する。
そうそう簡単に受けられる話ではないことも事実である。
「もう頼れる人はみやちゃん先生しかいないんですよっ。ぜひ!ぜひ!お願いします!」
宇星が頭を下げつつ、背中に隠した『物』を机の上に置いてある『物』の上に重ねる。
「おっけー!先生に任せなさいっ!」
…風嶋・美弥子は日本茶好きであると同時に和菓子にもめっぽう目が無いのであった。
「ん〜〜〜っ。やっぱ日立家の駄菓子はおいしいわね〜。綾茉さんセンスいいわよ♪」
「そりゃもういろいろと調べてますから。」
市内でも有名な和菓子(駄菓子)のお店からわざわざ購入してきたお菓子という名のワイロをおいしそうに食べる教師と学生。
他の先生に見られたらそれなりに問題視されそうな光景だが…どちらもまったく気にした様子は無い。
「それにしても…はむっ。むぐむぐ…頼んでおいて何なんですが、保険医って普通の先生と同じ扱いでいいんでしたっけ?部活の顧問とか出来るのかどうか不安だったんですが…。」
「ん、それは綾茉さんの勘違いね。そもそも…(もぐもぐ)保険医なんて職業は無いのよ?」
宇星の湯呑みに新しいお茶を注ぎながら、説明を続ける。
『保険医』という職業は実際には存在していない。
いわゆる「保健室の先生」と言われている人は、正式には『養護教諭』と呼ばれる職種であり、教員免許を持った『先生』である。
養護教諭は通常保健室などに常駐し、校内における在学生の怪我や疾病等の応急処置を行う。
通常、養護教諭には医師・看護師の資格を有する必要は無い(資格を所持してはいけない、というわけではない)為、『学校の先生』ではあっても『学校にいる医師』ではない。
養護教諭とは別に、『学校医』(校医)と呼ばれる学校職員も存在しているが、こちらは教員ではなく医師であり、ほとんどの場合、非常勤教員である。
『保険医』という名称は、小説や漫画などで保健室に常駐する職員を指す名称として使われているが、実際には上記の『養護教諭』と『学校医』という別々の職業を合わせた架空の職業と言える。
「…そんなわけで、わたしみたいな『養護教諭』は他の先生と同様、部活の顧問を受け持つことだって出来るわけよ。意外と知らない子が多いんだけどね。」
「意外も何も…普通『養護教諭』なんて言葉知りませんよ…。」
「ん、そう?」
二人で空にした菓子箱をゴミ箱に捨て、もう一つの菓子箱は戸棚へと仕舞う美弥子。
別な日のおやつとして一人で楽しむ気満々である。
「そういえば、部員はもう集めたの?」
美弥子の問いに、新しいお茶を入れる為にポットに水を足していた宇星が声を上げる。
「一応、わたしと、たっく…井川くんと、転校生の日捺さんの3人が決定です。他にも何人か声をかえてるんですが…今の所いい返事はもらえてないですね。」
「日捺…あぁ、今朝職員室にいたあのちっさい子ね。ふぅん…。」
何やら思案気な表情の美弥子。
「日捺さんが…何か?」
「ん、いや、何でもないのよ。ちょっとかわいい子だったんで興味があっただけ。」
ごまかすように笑う美弥子に宇星はいぶかしげな表情を浮かべた。
「ふぅん…まぁ、別にみやちゃん先生がどんな趣味を持っててもわたしは構いませんけど。さて、そろそろ帰らないといけないんで今日はこれでー。」
「ん…?いや、ちょっと待って綾茉さん、趣味って何?趣味って。」
そそくさと片付けた荷物を後ろ手に後ずさる宇星。
「大丈夫です先生。先生が少女趣味だなんて誰も言ってませんから!それじゃっ。」
「今あなたが言ったでしょう!ちょっと待ちなさいっ!」
脱兎のごとく保健室から飛び出す宇星を追って美弥子も外へと飛び出して行った。
/******************************************************/
とりあえず2章では登場キャラの説明をしつつストーリーを進めていくということで。
いま2章の3を書いてるところですが、この分だと4で大きなイベントを起こして3章に続く感じかな、と思います。
なんか書いてるうちにどんどん設定が膨らんでいくんですが…。( ̄▽ ̄;
どうなることやらw
前回1章が終了したので、幕間2と2章の1をまとめて放出。
幕間2はもっといろいろと書こうと思ってたんですが、それだと幕間じゃなくなっちゃうんでこのくらいで。( ̄▽ ̄;
ダブルクロスについての詳細は下記のWikiを参照ということで。
・ダブルクロスWiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9
/******************************************************/
- 幕間2 -
夜。
既に深夜0時を過ぎ、校舎内は日中の騒がしさを想像出来ないほど静まり返っていた。
用務員の見回りも終わり、戸締りがされた校舎内には誰も残っていない…はずの校内で足音がした。
校舎から少し離れた位置にある体育館。
室内プールや部活棟とも繋がる通路を一人の女学生が歩いていた。
緩いウェーブのかかった金髪のロングヘアーを腰まで伸ばし、背筋をピンと伸ばして歩くさまは一見してお嬢様然とした雰囲気をかもし出している。
彼女は輝名学院高校指定の制服のポケットから真っ白な携帯電話を取り出し、歩を緩めずにどこかへと電話をかける。
「…誠くん?こちらは準備完了よ。いつでも始めて頂戴。」
最早声のみ聞けば名乗る必要も無しとばかりに要件のみを突きつける。
電話の相手もそれは承知しているようで、特に気にもかけずに話を続けた。
『りょーかい。真彩さんの方も準備は完了してるから始めちゃっていいよー。』
「C’est meilleur!(すばらしい!)」
上機嫌に呟き、携帯をポケットに仕舞う、と同時に彼女は予定通りの場所にたどり着いた。
「さぁ、今宵もパーティーの始まりですわ。」
体育館横にある剣道場の扉を前に彼女は不敵な笑みを浮かべた。
首の辺りから制服の内側を探り、静かにネックレスを引き出す。
外見に似合わない革素材のネックレスの先には3cmほどの緋色の球体がぶら下がっていた。
…と、その球体が台座から外れ、重力を無視してふわりと宙に浮かんだ。
彼女は、周囲を連れそうように廻る球体を見て満足そうに頷くと、剣道場の扉を引いた。
本来であれば鍵が閉まっているはずの扉は何の抵抗も無く開き、彼女を暗闇の中に招き入れる。
「この由唯・一美と踊る勇気のある方はいるのかしら?」
楽しげなステップとともに彼女の姿が闇に溶け、消える。
開け放たれた扉が静かに閉まり、再び周囲には静けさの支配する空間だけが残った。
2章 - 1 -
放課後。
宇星は保健室へと来ていた。
「それで?怪我したわけでもなさそうだし…今日は何の用?」
輝名学院高校保健室の主、風嶋・美弥子は冷静を装いつつ宇星に声をかけた。
動きやすいジーンズにノースリーブのシャツというラフな格好の上から白衣を着ており、少し茶がかかった髪を頭の後ろで結い上げている。
曇った眼鏡を拭くそぶりを見せつつも視線がちらちらと移動する。
意識しないように努めてはいるが、どうしても机の上に置かれた『物』が気にかかるようだ。
「いやぁ、実はですね、みやちゃん先生にどーーしても頼みたいことがありましてお願いにきた次第ですはい。」
「頼みたいこと?」
保健室に常備している急須にお茶の葉を入れ、ポットからお湯を入れる。
風嶋の日本茶好きは校内でも有名で、することが無い時はいつでも日本茶を飲んでいるともっぱらの噂だ。
放課後になると仲の良い生徒が集まってはお茶会を開いているらしいが、今日は風嶋と綾茉の二人きりのようだ。
「実は…今度新しい部活を作ろうとしてるんですけど、みやちゃん先生に顧問をお願いしたいなー、と。」
「んー…。どんな部活?」
「それはですね…」
かくかくしかじか、とこれまでの経緯を説明する宇星。
「他の先生はほとんど何かしら部活の顧問をやってるし、こんなお願い聞いてくれそうなのってみやちゃん先生くらいしかいないんですよ。」
「んー…顧問ねぇ…。」
「先生も探偵物の小説とか好きじゃないですか。運動系の部活と違って顧問の先生が何かすることってほとんどありませんから、ご迷惑はおかけしないと思います。」
「ん…。」
することがない、とはいえやはり顧問となる以上、その部活で行われることへの監督責任が発生する。
そうそう簡単に受けられる話ではないことも事実である。
「もう頼れる人はみやちゃん先生しかいないんですよっ。ぜひ!ぜひ!お願いします!」
宇星が頭を下げつつ、背中に隠した『物』を机の上に置いてある『物』の上に重ねる。
「おっけー!先生に任せなさいっ!」
…風嶋・美弥子は日本茶好きであると同時に和菓子にもめっぽう目が無いのであった。
「ん〜〜〜っ。やっぱ日立家の駄菓子はおいしいわね〜。綾茉さんセンスいいわよ♪」
「そりゃもういろいろと調べてますから。」
市内でも有名な和菓子(駄菓子)のお店からわざわざ購入してきたお菓子という名のワイロをおいしそうに食べる教師と学生。
他の先生に見られたらそれなりに問題視されそうな光景だが…どちらもまったく気にした様子は無い。
「それにしても…はむっ。むぐむぐ…頼んでおいて何なんですが、保険医って普通の先生と同じ扱いでいいんでしたっけ?部活の顧問とか出来るのかどうか不安だったんですが…。」
「ん、それは綾茉さんの勘違いね。そもそも…(もぐもぐ)保険医なんて職業は無いのよ?」
宇星の湯呑みに新しいお茶を注ぎながら、説明を続ける。
『保険医』という職業は実際には存在していない。
いわゆる「保健室の先生」と言われている人は、正式には『養護教諭』と呼ばれる職種であり、教員免許を持った『先生』である。
養護教諭は通常保健室などに常駐し、校内における在学生の怪我や疾病等の応急処置を行う。
通常、養護教諭には医師・看護師の資格を有する必要は無い(資格を所持してはいけない、というわけではない)為、『学校の先生』ではあっても『学校にいる医師』ではない。
養護教諭とは別に、『学校医』(校医)と呼ばれる学校職員も存在しているが、こちらは教員ではなく医師であり、ほとんどの場合、非常勤教員である。
『保険医』という名称は、小説や漫画などで保健室に常駐する職員を指す名称として使われているが、実際には上記の『養護教諭』と『学校医』という別々の職業を合わせた架空の職業と言える。
「…そんなわけで、わたしみたいな『養護教諭』は他の先生と同様、部活の顧問を受け持つことだって出来るわけよ。意外と知らない子が多いんだけどね。」
「意外も何も…普通『養護教諭』なんて言葉知りませんよ…。」
「ん、そう?」
二人で空にした菓子箱をゴミ箱に捨て、もう一つの菓子箱は戸棚へと仕舞う美弥子。
別な日のおやつとして一人で楽しむ気満々である。
「そういえば、部員はもう集めたの?」
美弥子の問いに、新しいお茶を入れる為にポットに水を足していた宇星が声を上げる。
「一応、わたしと、たっく…井川くんと、転校生の日捺さんの3人が決定です。他にも何人か声をかえてるんですが…今の所いい返事はもらえてないですね。」
「日捺…あぁ、今朝職員室にいたあのちっさい子ね。ふぅん…。」
何やら思案気な表情の美弥子。
「日捺さんが…何か?」
「ん、いや、何でもないのよ。ちょっとかわいい子だったんで興味があっただけ。」
ごまかすように笑う美弥子に宇星はいぶかしげな表情を浮かべた。
「ふぅん…まぁ、別にみやちゃん先生がどんな趣味を持っててもわたしは構いませんけど。さて、そろそろ帰らないといけないんで今日はこれでー。」
「ん…?いや、ちょっと待って綾茉さん、趣味って何?趣味って。」
そそくさと片付けた荷物を後ろ手に後ずさる宇星。
「大丈夫です先生。先生が少女趣味だなんて誰も言ってませんから!それじゃっ。」
「今あなたが言ったでしょう!ちょっと待ちなさいっ!」
脱兎のごとく保健室から飛び出す宇星を追って美弥子も外へと飛び出して行った。
/******************************************************/
とりあえず2章では登場キャラの説明をしつつストーリーを進めていくということで。
いま2章の3を書いてるところですが、この分だと4で大きなイベントを起こして3章に続く感じかな、と思います。
なんか書いてるうちにどんどん設定が膨らんでいくんですが…。( ̄▽ ̄;
どうなることやらw
コメント